慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

教えないのに焼香の意味を悟った小学二年生たち

 先日、このブログにも書いたように、ご近所の小学校から2年生の子供たちが、慈雲寺に見学に来てくれました。

 昨年から、この見学がある時には子供たちにお焼香を体験してもらうことにしています。焼香の作法については少しお話しますが、二年生であることを考えて、焼香の意義や意味についてはあまり詳しくはなしませんでした。

 

 数日前、見学に来た子供たちから手書きの感想文が送られてきました。

「お坊さんは早起きなのを知ってびっくりしました。」なんて、可愛い文章ばかりです。でも、今回はお焼香体験について書いてくれた子供がたくさんいました。

「良い香りでした。心がきれいになったようなきがしました」と書いてくれた子も数人。

 焼香は、仏さまに御香の香りをお供えするのが第一の目的ですが、同時に焼香する人の心を静め、清め、穏やかにしてくれる功徳もあります。

 子供たちは、このことを聞かされていないのに、ちゃんと感じ取ってくれているようでした。なんだか嬉しくなりました。

 

 お焼香のお作法は、宗派によっても、地方によっても違いがありますが、冒頭のイラストに示されているようなやり方が一般的のようです。

 慈雲寺では、最初、軽く一つまみをそのまま炭に置き、もう一回香をつまみ、この時は左手もそえて、捧げるように軽く頭をさげてから、炭の上に香を乗せます。

 どれが正解ということはありません。焼香の作法や回数について、根拠となるお経はないようなので、宗派や地方での「慣習」の違いです。

 

 大切なことは、献香には煙と香りが不可欠だということです。薄い煙は、捧げる仏さまへ香りを運ぶ道筋をしめすものです。風や空気の微妙な動きで煙がたなびいていくさまは、心を落ち着かせる景色でもあります。

 そして、何より香りです。この「香り」こそが仏様、亡くなられた方への供養になるのです。

 最近は「煙が少なく、香りが薄い」ことを売り物にした線香などが一般化していますが、本来の「お香」の意味、意義からすると、なんとも無意味なものということになってしまいます。これなら、電気で偽物の線香に赤い光がともる疑似線香でも同じことかもしれません。

 お線香などの香りはさまざま。ぜひ、自分の気持ち、気分に沿った香りを見つけて、その日の気分で香を焚く習慣を生活に取り入れて欲しいものです。

 

 この社会科見学をきっかけに、子供たちがもっと自由にお寺に来てくれるようになると良いのですが・・・