今朝は、今が12月であることをしっかり思い出させてくれる冷えこみです。手をすり合わせながら寺の門を開け、新聞を取りに行きました。慈雲寺の寺門は江戸時代の武家屋敷の屋敷門を流用しています。前にも書きましたが、私はこの門を開閉するたびに、なんだか江戸時代に一瞬タイムスリップするような気がして楽しくなります。
日本に戻って嬉しいことの一つに日本語の新聞が読めるというのがあります。もちろん、私が住んでいたカナダのバンクーバーでも衛星版の朝日新聞や日経新聞を入手することはかのうです。しかし、かなりの高額。ときどき友人の会社で見せてもらうのがせいぜいでした。インターネット版はやはりものたりない。
と、いうわけで毎朝ゆっくりと新聞を読むのは嬉しいものです。今日は目を引く記事がたくさんありました。最初に目についたのは一面の下に並んだ書籍の広告。その一つが雑誌クロワッサンの特別編集版「親を看取る」というものでした。
クロワッサンはバブル経済期と男女の雇用均等法を背景にして生まれた雑誌だそうで、女性が自分のキャリアを積み、シングルというライフスタイルも選択肢の一つとして示したと言われています。最近は編集方針がかなり変わって、仕事も家庭も育児もしなやかにこなす・・・という風になっているようです。私も時々ぱらぱらとこの雑誌を見ることがありましたが、いつも「ああ~こんなにスッキリと家の中のインテリアデコレーションを整えられるなんて、ほんとかい?」とちょっと羨ましく思ってしまっていました。もちろん、何に対しても「羨む」というのは僧侶は避けるべきなんですけどね。
さて、そのクロワッサンが「親の介護と看取り」に言及し始めたことは、僧侶としても見逃せないことだと思います。クロワッサンの初期の読者たちのように、シングルのキャリアとしての生き方を選んだ女性たちが一人で親の介護や看取りに直面する時代が来たということでしょう。だいぶ前のことになりますが、雑誌女性公論で「親の介護は独身の娘の肩にかかってくる」という記事を見た事があります。女性公論の先見性に関心すると同時に、いよいよ「クロワッサン症候群」と揶揄された人たちも避けられない事態になってきたということかと・・・・今日、本屋に行ってさっそく読んでみたくなりました。
◎今日の写真はカナダ・モントリオールの住宅街の秋景色です。