慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

見たくないものは見えない?!捜し物が目の前に!

 パスポートが見当たらなくなって、ほとほと困っていました。

 コロナ禍で旅行ライターとして海外に行く仕事が全く無くなったので、パスポートを使う機会がありませんでした。

 しかし数ヶ月前、証明書が必要な手続きがあって、運転免許を持っていない私はパスポートを代わりに利用しました。その手続きが終わった時、パスポートをいつもの場所に置かなかったようです。

 同じ頃、カナダに行かなければならない用事があったのですが、いざ飛行機の切符を買おうとしたらパスポートを仕舞った場所が思い出せません。

 二つの部屋をひっくり返して探し続けたのですが、部屋が乱雑になっただけで、パスポートにたどり着くことができませんでした。部屋のカオス状態はパニックになった私の心そのものでした。

 

 いよいよパスポートの紛失届けをして、再発行の手続きをとらなければということになったのですが、この手続きがなかなか面倒です。家の中で紛失したことが明らかでも、警察に行って紛失届けをしなければならないほど。

 ほとほと泣けてきていたのですが・・・・

 しかし、今日、パソコンの周りの文具を入れた箱を何気なく整理したら、なんと!箱の底にパスポートが潜んでいたではないですか!

 たぶん、鞄から出して、所定の場所に入れるまで、ちょっと箱の上に置いたのでしょう。それがなぜか底の方に潜り込んでいた・・・

 机の周辺はもう何百回も見たはずなのに・・・一番驚いたのは、私が赤だと思い込んでいたパスポートが紺色だったことです。いつも10年のパスポートを使っていたのですが、なぜか前回の更新では5年にしていて、そのことを完全に忘れてました。

 「赤」という思い込みが、目の前のパスポート(裏返しだった)を色で認識できなかったようです。

 思い込みが「見えているものが見えない」という状況を造っていたのでしょう。

 

 もう一つの原因は、カナダにあまり行きたくないという気持ちがあったことです。私はカナダに40年以上住んでいたので、友人も多いし、さまざまな思いも強い。経済的な問題や時間の問題で、自由にカナダを行き来できない現状を考えたりすると、思いが強すぎて、かえって避けたくなってしまっていたようです。

 

 今日、いよいよ警察に行こうと思っていたところで、パスポートの出現!う~ん・・・恐らく、私は自分の見たくない物、避けたいものを見ていなかったということでしょう。

 私たちは自分の見たい物しか見えないことがしばしばあります。仏教は、心を落ち着けて、多くの角度からものを「観よ」と教えています。パスポートの発見(?)は、私の本心との出会いでもあるようです。