僧侶は本来、毎朝托鉢に出かけ、そこで供養していただいた食べ物を食べて一日を暮らします。托鉢で何もいただけなければそれまで・・・お釈迦様もそうして暮らしておいででした。
一年のうちの暑くて雨の多い時期は、信者の方々が用意して下さった場所に留まって「安居」の時を過ごしますが、通常はお説法をしては次の場所に移る「遊行」の暮らしが基本です。お釈迦様もそうしておられた・・・
今でも、禅宗の僧侶たちは修行の一つとして托鉢に出ますね。まあ、集めるのはお金のようですが・・・
こんな風に僧侶はほんらい乞食(こつじき)、つまりその日の食を乞うて生きていくものなのです・・・まあ、お釈迦様の時代のは状況が大きく変わっていますから、そのままというわけにはいきませんね。
しかし、さいきん慈雲寺の暮らしはまさに乞食状態です。あ、托鉢に出るわけではありませんが、皆さまがお供えして下さるもので、ほぼ暮らしている状態です。
慈雲寺は名古屋市内にありますが、まだ周辺には畑や果樹園が残っています。専業農家でなくても、自分の家で食べるものは、自分の畑で作るという人も少なくありません。そんな方の中には、昔からの習慣で「初物はお寺にお供えさせてもらう」という方がいらっしゃるのです。
ナスやキュウリ、トマト、そして私の大好きな桃・・・夏の恵を次々とお供えしていただき、私も仏様の御相伴にあずかっています。
食べ物だけでなく、先日、「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」を再開したら、「人が集まるのに、庵主様のことだから除菌の用意もしていないだろう・・・」と考えた(?)方が除菌ジェルまでお供えして下さいました。
いや、除菌ジェルは前日に思い出して、用意はしてあったのですが・・・来月の会の時に喜んで使わせていただきます。そういえば、マスクのお供えもあったなぁ・・・「あの庵主さんのことだから、チャッチャと入手するなんてことはできっこない」と思ったようです。
隠しても隠し切れない間抜けぶりというのが、みんなに知られてしまうのも、あながち悪いことではなさそうです。
さて、今日はお供えの人参と大根を生かして、何の料理を作りましょうか・・・
◎今日の写真は、慈雲寺の近くを通る旧東海道の有松周辺の家並みです。電柱を地下に埋めたせいで、まるで江戸時代です。私は30年ほど前に、東京から京都まで旧東海道を全部歩きました。そのお話はまた別の機会に・・・