Part1では、出家を考えておられる方々に、「自分が最も心惹かれる宗祖や祖師を探してみませんか?」とお勧めしました。
日蓮上人でも、法然上人でも、道元さま、一遍さま、最澄さまなどなど、日本には綺羅星のように素晴らしい宗祖がおいでになります。出家をして、一つの宗派に属するということは、その宗祖(派祖や流祖も含め)の末弟になるということです。
例えば浄土真宗なら、法然上人から親鸞聖人、そして蓮如上人につながる方々を尊敬できて、その方々の弟子であることを心から喜べるなら、僧侶としてこの上ない幸せでしょう。
私は浄土宗の西山派(西山浄土宗)の僧侶です。法然房源空上人(法然上人)から、善慧房證空上人(西山上人)に伝えられた教えを受けることができたことをとても嬉しく思っています。
上の写真は、法然上人の没後、京都の西山にある現在の三鈷寺(西山宗総本山)を中心に布教を続けられた證空上人のお姿です。私が初めて見た證空上人のお像が、この写真の像でした。理知的で穏やかに、仏の教えに従って生きている方の凛々しさに惹かれました。
さて、そうした祖師との出会いは、本当は現代に生きる、その宗派の僧侶との出会いから始まるのがベストだとは思いますが、いきなり知らない和尚さんを訪ねるわけにもいかないでしょう。まずは本から・・・・
法然上人から證空上人へと受け継がれた教えについて書かれた本は、そうたくさんあるわけではありません。残念ながら、今の西山派は非常にマイナーな宗派ですので・・・
比較的手に入りやすい本としては、ひろさちやさんの書いた『法然上人とその弟子西山上人』(春秋社)があります。法然上人と證空上人の関係、そして證空上人が師僧の教えをどう受け止めたかについて、わかりやすく書かれています。
思想史の上から、法然上人~證空上人~聖達上人~一遍上人(時宗)とうけつがれた、念仏信仰の流れをわかりやすく解説しているのは、柳宗悦の『南無阿弥陀仏』(岩波文庫)です。
また、講談社の『浄土仏教の思想』シリーズの第11巻は、證空上人と一遍上人について書かれています。
證空上人の教えについては、これから折に触れて少しずつお話させていただこうと思っています。