慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

お位牌は複数作っても良いのです

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ローマの市営動物園で見た建物の渦巻き模様。けっこう獰猛な表情の蛇がモチーフですが、なぜかユーモアがある感じでした

 先日、お仏壇のことをこのブログに書き込んだせいか、仏壇やお位牌に関するご質問をいくつかいただきました。

 その一つが「仏壇は家を継いだ兄の家にあるのですが、相続のことで揉めてから兄の家に行くのが難しい状況です。お墓は出身地の菩提寺にあり、飛行機の距離でそちらへもなかなかお参りできません。父母のことを思うとお参りができないのが苦しい」というご相談でした。

 もちろん、最善の解決策は兄妹が仲良くなり、気軽に行き来できる状態に戻ることです。しかし、それがすぐには難しいなら、ご両親のお位牌を新たに作り、お寺で開眼供養をしていただくこともできます。位牌と一緒に小さな厨子阿弥陀様の仏像なども御祀りしてください。

 お位牌は窓のようなものだと私は考えています。空は大きく広がっているけれど、家の中で壁に囲まれていては眺めることもできません。窓を開ければ、空の美しさや広さを感じることができます。

 ご先祖は位牌やお墓に閉じ込められているわけではありません。しかし、私たちが亡くなった方を偲ぶとき、心を集中させる「焦点」のようなものがあれば、よりクリアに思いを結ぶことができるでしょう。お墓やお位牌はそのために大切なものではないかと思います。

 お位牌はけして一つでなければならないわけではありません。例えば、家の仏壇に祀る位牌とは別のものを作り、菩提寺に納めて供養していただく「祠堂供養」は、どの宗派にも共通する宗教慣習です。

 また、宗派のご本山などに位牌や小さな仏像に戒名を刻んだものを納めて供養していただく慣習も広く行われています。

 開眼供養は、菩提寺にお願いするのがおすすめですが、ご近所でご縁のあるお寺にお願いしても良いでしょう。このブログでも何回かお話しましたが、ご近所で「いきつけのお寺」になってくださるお寺、僧侶とのご縁をぜひ探してみてください。案外近くにあるかもしれませんよ。

 もし、開眼供養や祠堂供養のことで相談できるお寺がないのなら、慈雲寺にご相談くださいませ。喜んで一番良い方法をご一緒に考えましょう。