先日、出張があってあるビジネスホテルに宿泊しました。
眠りに入る直前、少し文庫本を読んで枕元に置いたところまでは覚えています。しかし、朝起きてみるとその本が見当たりません。ベッドの下や壁との間を探したのでも行方不明。
狭いビジネスホテルの部屋ですし、どこかへ持ち出すわけもないのに、部屋中あちこち探しても見つかりません。昨夜、ちょうどストーリーが盛り上がりかけたところまで読んでいたので、続きが読みたくてかなり焦りました。
仕事に出かける時間になってしまい捜査は中止。首をひねりながら部屋を出ました。
ところが、部屋に戻ってみると、枕の真上にあった棚の上に、探していた本がチョコンと置いてあるではありませんか!その棚は今朝、もう何十回も見た・・・はずの場所でした。
連泊だったのですが、今日は部屋の掃除が入らない日。入り口のドアに新しいタオルなどを入れた袋が下げられていたので、誰も入室するはずがありません。いったい、あの本はどこからワープしてきたのでしょう?
このごろこんな不思議がことが多すぎる!
仏教では、「ものごとをありのままに見ない」ことが私たちの生きる苦しみを増幅していると教えています。
ありのままに見えないのは私たちの思い込みが目を曇らせているからです。おそらく私は、文庫本にカバーがかかっていると思い込み、そのカバーの色のことばかり考えて探していたのです。昨夜、カバーを外したことをすっかり忘れていました。
「カバーがかかった本」を探している私には、目の前にお目当ての本があったのに見えなかったのでしょう。
つい数か月前にも、パスポートの色を赤だと思い込んで探していて、なかなか見つからず、実は目の前にあったということがありました。私は五年有効の青いパスポートに変えていたことを忘れていたのです。
う~~ん・・・老化ということかなぁ?
自分の思い込みに私たちは振り回されているのです。落ち着いて、先入観を沈め、周囲を見れば・・・・。僧侶は特に気をつけなければいけませんね。「老い」を言い訳にはできないでしょう。反省、反省。