オウム真理教の事件が世間の注目を集めていた時、「ハルマゲドン」という言葉がしばしばメディアに登場しました。
「ハルマゲドン」とは、「メギドの丘」という意味です。この丘は、古来イスラエルで、しばしば戦場となった場所。新約聖書の中の『ヨハネの黙示録16章16節』では、悪魔と神の決戦場をして登場します。
オウム真理教の麻原彰晃は、これを自分流にねじまげ、近日中に人類の最終戦争が起きると信者を煽り、武装ほう起しなければならないと教えたと言われています。
さまざまな宗教は「世の終わり」について教えていますが、キリスト教の終末論は特に強烈で、激しいイメージがあります。
仏教は時間はらせん状に繰り返して行くと考えるので、キリスト教のような「終わり」という発想はありませんが、お釈迦さまが生きていた時代をピークとして、その後徐々に全てが悪化していき、ついには末期を迎えるという歴史観があります。
これを末法思想といいます。
歴史の流れを正法、像法、末法の三つに分類します。
正法とは、釈尊の在世中から1000年(500年説あり)間の時代で、人々の機根(資質・能力)がすぐれており、教えに従って修行する人は多く、悟りを開く人もたくさんいる字だしのことです。
それに続く1000年は像法の時代。「像」とは似ていることを意味しています。正法の時代と似てはいても、人々の能力や資質は劣化していき、修行する人はいるものの、悟りを得ることは非常に困難にたっていきます。
そして釈尊在世から2000年(1000年)たつと、末法の時代に突入します。この時代には、人々の機根は劣悪となり、修行をする人もいなくなり、当然悟りを開く人もいなくなります。しかし、釈尊の教えだけは危うくも残っているという時代です。末法の時代は1万年続くと言われています。
日本では伝統的に平安時代末期の1052年に末法の時代に突入したと信じられてきました。
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