慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

極楽のあまり風

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 今朝は窓を開けたら、涼やかな風がスッと部屋に吹き込んできました。本堂の正面の扉を開け、南北の戸も開けると、「そよそよ」という言葉がぴったりな柔らかで、涼しい風が通り抜けていきました。瓔珞が少し揺れてかすかに音をたてるぐらいの風です。

 『阿弥陀経』というお経には、極楽の様子が細かく記されています。そこには、いつも心地良い風が吹き、美しい花びらが舞っているそうです。

 題名は忘れましたが、ある落語を聞いていたときに、心地よい風が吹いてきたのを「極楽のあまり風」と表現していました。極楽に吹いている風のあまり(おこぼれ?)が此岸にも吹いてきているということでしょう。寒くなく暑くなく、とても心地の良い風・・・まさに極楽です。

 ただですら怠け者の私(怠惰は僧侶としては本当に恥ずかしいことですが・・・)、夏の蒸し暑さには本当に閉口です。砂漠やアリゾナのような乾燥地帯で仕事をしたことは何度もありますが、気温が高くても湿度が低ければ大丈夫。影に入れば心地よい風が吹いてくるからです。しかし、湿度はだめ・・・タイのジャングルでは泣きべそをかいてしまったほどです。名古屋の夏も「ああ、日本はアジアなのだ」としみじみ思える湿気です。

 というわけで、夏のあいだグッタリしていた私ですが、さすがに今朝は元気。朝からセッセと部屋の掃除をし、長い間懸案だった事務処理も始めています。

 極楽から吹いてくる風に励まされているかのようです。

●今日の写真は大阪の住吉大社の客殿です。平安貴族の邸宅を思わせるような優雅なたたずまい。池には亀が楽しそうに泳いでいました。