慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

今の言葉、今のメールが「遺言」に・・・・

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 先日、中学時代の友人とメールでやり取りをしていたら、急に「新型コロナは劇的に症状が悪化することもあるらしい。どのメールもこれが最後の言葉と思って、ちゃんと書かなければいけないという気持ちになる」と書いてきました。

 心優しい友人は、いろいろと考えることがあるのでしょう。

 しかし、私たちの命は、いつでもとても危ういものです。心無い言葉を投げつけて別れたら、それが今生での最後のやりとりになった・・・という経験は誰にでも起こりうることです。年齢とは関係なく・・・

 災害や事故、心臓麻痺や脳溢血など、私たちはいつでも「明日をも知れぬ身」なのです。そのことに怯えたり、悲しんだりするのではなく、「あやうい命だからこそ、大切にする。十分に楽しむ、慈しむ」ための勇気を養うのが仏教の修行です。

 例えば布施という修行ですが、金銭や物での布施も、執着を離れるという意味でとても大切です。しかし、「和顔愛語」、穏やかな表情で、慈しみ、思いやりのこもった言葉を語るのも、大切な布施行なのです。

 「さようなら」、「行ってらっしゃい」などを言うときは、特に心をこめて言いましょう。それが今生での最後の言葉になる可能性はいつでもあるからです。

 メール、特にラインでは、感情に任せて、心無い言葉を投げつけてしまいがちです。それが「遺言」になってしまう可能性もあるのです。

 自分の思いを十分に伝えられるよう、語彙と表現力を養いましょう。なにより、思いやりのある、慈愛に満ちた人間になれるように、少しずつでも仏様の教えを学んでいきましょう。

 家にいる時間が長いなら、本を読んでみませんか?本の世界は広々として、ゆっくり翼を広げて飛び回ることができますよ。

 

◎今日の写真は、ご近所で見たヴォーリズ風の建築です。私はこんな風な、和製洋館が大好き。市の文化遺産として大切にしてもらいたいものです。