慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

3月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は3月17日(日)10時より、お彼岸の法要も兼ねて行います。テーマは「法然上人が開いた『浄土門』とは何だったのか?その2」です。どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加ください。

山の辺の道に地獄絵を拝みに行く Part1

狩野山楽によって約500年前に描かれた地獄絵

 

 コロナのワクチン接種の副反応で高熱・・・・数日へたばっておりました。まだ体温は平熱より高めですが、ようやく回復の兆しという感じです。更新が滞ってご心配をおかけしました。すみません。

 

 さて、先日、お友達に誘われて山の辺の道を歩いてきました。明日香周辺には何度か取材などで歩いたことがあるのですが、この「日本最古の道」は初めて。4分の1ほどの区間を歩いただけですが、さまざまな収穫があり充実した楽しい一日になりました。

 中でも楽しみだったのが長岳寺です。この寺院は天長元年(824)に淳和天皇の勅願により、大和神社の神宮寺として創建されました。開山は弘法大師だそうです。このところ神仏混淆神仏分離に興味を惹かれている私は、神宮寺として創建された寺院には興味深々でした。

 かつては300人以上の僧侶が修行をしていたと言われる巨大寺院も、今はひっそりとたたずんでいます。近くに山の辺の道の休憩センターがあるので、ついでに寄っていく人がちらほらという感じ。

 しかし、ここには重要文化財阿弥陀三尊像を始めお宝がいっぱい!秋には大地獄絵が御開帳されることでも有名です。

 今回はちょうどその御開帳の時期だったので、素晴らしい地獄絵を拝むことができました。

 

 地獄絵図は仏教の布教ツールとして江戸時代に盛んに利用されたものです。地獄の悲惨な様子を描き、地獄に落ちないための信仰と行動が説かれたのです。

 地獄図は全国の寺院にありますが、この長岳寺の「大地獄絵」は、その大きさ、細密さで群を抜いています。図は掛け軸9幅から構成されており、全体で一枚の絵になるように描かれています。9枚合わせると縦約3.5m、横11mにもなるほどです。

 描いた絵師は狩野山楽と伝えられています。山楽は安土桃山時代から江戸初期にかけての狩野派を代表する絵師の一人です。(つづく)