先日、ご近所の団地に住んでいるお年寄りが慈雲寺を訪ねてくださいました。Aさんは、来月から施設に入ることになったのだけれど、部屋が狭く、仏壇を置く余裕がないので、仏壇のお性根を抜いて廃棄処分にしたいとのことでした。そして、仏壇の中に祀られていたお位牌をどうすべきかという相談です。
一番良い解決策としてお勧めしたのは、大きな仏壇やお位牌を置く余裕がないのなら、とてもコンパクトなA4サイズぐらいの小さなお仏壇やそれに合った小さな仏像やお位牌もあるので、サイズダウンしたものを施設に持っていくことです。
小さなお位牌だけを持って行くということもできますが、私は位牌だけというのは、あまりお勧めしたくありません。仏壇はあくまでも、仏様(仏像や名号の掛け軸など)をお祀りする「聖なる場」です。そこに亡くなられた方の位牌を置き、極楽で阿弥陀様と共に修行をしているご先祖を偲ぶのが本来のありようです。
位牌の「収納場所」というのは、二次的、三次的な目的です。
阿弥陀さまやお釈迦様などの小さな仏像を納める小型の厨子とご先祖の戒名を書いた過去帳なら、場所は小さくて十分ですし、「聖なる場所」としての意義もかなえられます。
日々の暮らしの中で、「ここだけは特別」とういう場所を持つことは心の余裕に大きな影響を及ぼします。その場を清め、美しい花を飾り・・・静かに祈る時間を持つことは、穏やかな日々の大切な糧になることでしょう。
もし、どうしても、そのような「聖なる場所」を確保できないなら、どうぞ慈雲寺にご相談ください。喜んで、お位牌をお預かりします。