慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

4月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、4月21日(日)10時より行います。テーマは「法然上人がひらいた『浄土門』とは何か。Part 3 」です。法然上人の弟子、弁長、親鸞、証空が、師の教えをどのように受け止めていたのかをご一緒に学びましょう。どなたでも歓迎いたします。お気軽にご参加ください。

お盆っていったいいつが正式? Part2

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お盆の精霊棚の設えや供えものは地方によって大きく異なります

 

 お盆は、その仏教的根拠となっている『盂蘭盆経』に従って行うなら、太陰暦(旧暦)の7月15日。つまり7月の満月の日ということになります。

 私たちが今使っている太陽暦でいえば、今年のお盆は8月22日です。8月19日に迎え火を焚き、23日にご先祖をお見送りしてください。

 

 とはいえ、生きているものの都合で、お盆の慣習はどんどん変化しています。関東地方などは、明治政府が太陽暦を正式に採用したとたんに、カレンダーどおりの7月盆に変化しました。

 旧暦へのこだわりが強い地方でも、大雑把に一ヶ月遅らせて8月13日~15日をお盆としていますが、これでは大雑把過ぎるではありませんか?!

 また、養蚕の盛んだった地域では、お盆の時期がかつてはお蚕のお世話のピークなので、それを避けて、養蚕が暇な時期に先祖を迎えていた慣習が残っている所もあるのです。

 

 ご先祖さまは、生きている子孫の都合で帰ってくる日を決められて大丈夫なのでしょうか?

 

 浄土教の教えに従えば、全然OKです!極楽へ迎えとってもらった人は6つの神通力がつくのですが、そのうちのひとつに、「どこへでも、いつでも行き来できる」というのがあります。さまざまな仏国土を巡ることができるのです。もちろん娑婆に戻って来るのも自由自在。

 私たちが祖先を思うとき、祖先は即座に呼びかけに応えて寄り添ってくれるのです。

 ですから、お盆の日にちはこだわらなくても大丈夫!喜んで娑婆の人間の都合に合わせてくれるはずです。

 

 では、いつでも帰ってこられるなら、なぜお盆が特別なのでしょう?

 それは、祖先の精霊を「まるで生きている人が帰ってきたようにもてなす」というところです。生きているからこそ、馬に乗って帰って来るのだし、迎え火を焚いて足元を照らし、三食家族と一緒に食事をするのです。

 できるだけ多くの人が集まれる日を選んで祖先を迎え、まるで生きていたときのように一族で団欒し、祖先の思い出を生き生きとリフレッシュするところがお盆の特別さです。

 ご先祖たちのエピソードを大いに語って、子孫に語り継いでいきましょう!エピソードを文章に残しておくのもお勧めです。

 

  しかし、コロナ禍が落ち着くまで、長距離の移動は避けた方が良いでしょうし、密になるような状況でお酒を飲んで大声というのはやめるべきですよね。今年は静かに祖先を偲びましょう。