慈雲寺新米庵主のおろおろ日記

今月の「尼僧と学ぶやさしい仏教講座」は、9月16日(月・祝日)の10時から行います。どなたでも歓迎いたしますので、お気軽にご参加下さい。

「如来」の仏像を知る Part1

 名鉄の鳴海駅前にある「鳴海中日文化センター」で、仏教の入門講座を行っています。センターと同じ建物の中に、「鶴亀2号」という不思議な名前の古本屋さんがあります。毎月の講座が終わると、この本屋さんに寄って、100円コーナーを漁るのが楽しみです。100円なので、目についたものはどんどん買います。普段なら手に取らないようなジャンルの本も躊躇しないで買えるので、時々大当たりもあるし、はずれのこともあります。

 今月は寺院建築に関する本や仏像に関する本が目につきました。『メガネをかけたようにわかる 仏像の見方』という変な名前の新書を見つけたので、さっそく購入。写真や図が豊富で、説明も明確。なかなかお得な本でした。

 このブログでは、今まで仏像のお話をほとんどしてこなかったので、少しお話してみようと思います。

 仏像には、大きく4種類あります。まず釈迦如来阿弥陀如来など、如来のお姿を刻んだ「如来像」。観音菩薩勢至菩薩などの菩薩のお姿を現した「菩薩像」、そして、不動明王愛染明王などの「明王」、帝釈天や大黒天などの諸天を現す「天部」です。

 まず「如来像」についてお話しましょう。

 「如来」とは、「真理に目覚めた者」を意味し、修行の末に悟りを開いた仏さまたちの総称です。

 原語は梵語 तथागतtathāgata、タターガタ)で、語義の解釈には、「全ての煩悩を滅した者」とか、「一切の智慧を知ったもの」といったような諸説あります。中村元先生によれば、「如来」という漢訳には、「人々を救うためにかくのごとく来たりし者」という大乗仏教的なメッセージが込められているそうです。

 如来像の特徴は、そのシンプルなお姿。さまざまな飾りをまとった菩薩像と一目瞭然の違いがあります。

 これは、如来像が苦行して悟りを開いた後のお釈迦様のお姿を模したものが基本だからです。上の図で⑤の「衲衣」とされているのは、人が捨てたようなぼろ布を集めて作った袈裟のことです。「法衣」(ほうえ)と書かれている説明を見ることもありますが、これはより広い意味の表現で、僧侶が身に着ける衣を現す全般的な言葉です。

 6年間の苦行を経た修行者としてのお釈迦様は、いっさいの装飾品を身に着けず、質素な身なりをなさっていました。髪の毛も「螺髪」と呼ばれる縮れ毛が特徴です。

(つづく)